山ごはんの調理器具

山ごはん(山めし)を楽しもう!
登山時の料理に必要な調理道具の選び方を解説
山ごはんの魅力と必要な調理器具
眼下に広がる自然豊かな風景を望みながら食べる山ごはんはまさに最高の一言。
しかし、山ごはんを作るための調理器具は各メーカーからさまざまな種類が販売されているため、初心者の方は道具の選び方などで迷われるかと思います。
 
今回はこのような悩みを抱える方に向けて、昭和45年創業、愛知県の登山用品専門店「駅前アルプス」が山ごはんで使用する調理器具や選び方のポイントを徹底解説します。
 
山ごはんとは?自然に囲まれて食べる山ごはんの魅力
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景色を楽しみながら食べる山ごはん
山ごはんは登山の魅力のひとつであり、山頂に登り切ったあとに食べるごはんの美味しさに魅せられて登山をしているという方も少なくありません。登山は山頂まで登り切ると体の疲れはもちろんのこと、春や秋シーズンは肌寒さを感じます。
この疲れや寒さを覚えた体を元気にしてくれるのが山ごはんの役割、魅力でもあります。
 
山頂で作るごはんは基本的に凝ったメニューではなく、おにぎりやカップラーメン、カレーなどのインスタント食品が中心です。
この至って普通のメニューでも登山時は格別に美味しく感じるのが山ごはんの素晴らしさです。
 
また、山ごはんを作るための道具を揃えれば、非日常的な空間の中で、より本格的な料理を作れ、調理も楽しめます。
 
調理するときに最低限必要な道具
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登山時に調理を楽しみたい場合、準備しておきたい道具があり、最低限でも以下の3つは必要となります。
山ごはんに必要なクッカー
クッカー
山ごはんに必要なバーナー
バーナー
山ごはんに必要なガスカードリッジ
ガスカートリッジ (燃料)
山ごはんに必要な調理器具
基本的に登山では上記3つの道具が揃っていれば山ごはんを作れます。
 
この他、水分補給に必要なウォーターボトルや山ごはんを食べるときに用いるカトラリー(スプーン、フォーク、ナイフなどが一体化したもの)といったアイテムも登山では推奨されています。ただしこれらは代用(ペットボトルや一般的な箸、スプーンなど)が効く道具でもありますので必須ではありません。
 
これから登山で山ごはんを楽しみたいという方は、クッカー・バーナー・ガスカートリッジの3点を最初に揃えるようにしましょう。ここからは、最低限必要な道具となる「クッカー」「バーナー」「ガスカートリッジ」の基本情報や特徴などを解説します。
 
登山の調理器具といえば、クッカー!
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まずはクッカー(コッヘル)からチェックしていきましょう。

クッカー(コッヘル)とは?

クッカーがあればさまざまな調理ができる
コッヘルとも呼ばれるクッカーは登山、キャンプなど主にアウトドアのシーンで用いられる調理器具を指します。クッカーは本体部分とフタ部分に分かれており、本体部分はお湯を沸かす、食材を煮る、焼く際の調理器具となります。
 
クッカーが通常の調理器具と異なるのは、フタ部分も鍋やフライパンとして活用できる点で、完成した山ごはんを載せる食器としても利用できます。つまりクッカーをひとつ購入すれば調理器具と食器を別々に用意する必要はない場合もあります。
 
また、クッカーは基本的に屋外での使用を想定して作られているため、コンパクトかつ軽量でできているのもポイントです。

クッカーは素材によって違いがある

クッカーで使用されている素材は主に「アルミニウム」「ステンレス」「チタン」が多く、各素材それぞれ強度や重さなどに違いがあります。ここでは各素材の主な特徴や違いをチェックしてみましょう。

アルミニウム

アルパインクッカー ディープ11+13 セット
アルミニウムの大きな特徴は軽量、かつ熱伝導率が高いという点です。また価格も安価なため、リーズナブルなクッカーを希望する方にはおすすめの素材といえます。
 
ただしアルミはやわらかい金属でもありますので、強い衝撃などによってへこみやゆがみが生じやすく、傷が付くと剥がれやすいといったデメリットもあります。
 
熱伝導率に優れているため、高温によって食材がこびりつきやすい点も注意しておく必要があるでしょう。これらデメリットを解消するためにアルミニウム製のクッカーには表面加工(テフロン加工やアルマイト加工など)が施されているものも多くあります。

ステンレス

BioLite ケトルポット
ステンレスは日常生活で使用するお鍋やフライパンにも使用されています。ステンレスとは「ステイン(汚れ)」「レス(少ない)」を略したものであり、「錆びにくい」という意味を持っています。
ステンレス素材はアルミ素材よりも頑丈性に優れており、へこみや傷に強いのも特徴です。購入したクッカーをできるだけ長期に渡って使いたいという方には、ステンレスタイプがおすすめです。
 
ただしステンレスは他の材質と比較すると重量があり、熱伝導率が低いです。熱伝導率が低い素材は一度温まると冷めにくいのが利点ですが、全体に熱が広がるのに時間がかかるため、調理の時間も延びやすいといった注意点もあります。
 
またステンレスはアルミ素材のように表面加工が施されていませんので、食材は素材が温まってから投入するなどの工夫も必要です (温まる前に投入するとこびりつきやすい)。

チタン

チタンボール・ディッシュセット
チタンは強度に優れており、かつ錆びないのが最大のメリットです。チタン素材はアルミよりも約60%重量がありますが、強度が約2倍となっており、アルミ以上に薄く作っても強度を保てます。
そのため、チタン素材で作られたクッカーは結果的に重量が軽い特徴を持っています。
 
またチタンはさびにくいのも魅力的で、海水や酸性の環境下に置いても劣化が少ないため、天気がコロコロ変わりやすい登山やキャンプなどのシーンで利用するには非常におすすめです。
ちなみにチタンはアルミ、ステンレスと違ってアレルギー反応も起きませんので、小さな子どもや高齢者にも適した素材です。
 
ただしチタンは加工が難しい素材でもあり、かつ価格が高価です。また熱伝導率も低く、幅広い調理をするには不向きという一面もありますので注意が必要です。

サイズも種類も豊富

クッカーは素材だけではなくサイズや形状もさまざまなタイプがあります。種類が非常に豊富なため、クッカーを初めて購入する方は悩むことが多いですが、クッカー選びで重要なのは「調理法」や「人数」に合ったタイプを選択することです。
 
たとえば、クッカーの代表的な形状として「浅型タイプ」と「角型タイプ」の2つがあります。

浅型タイプ

モンベルアルパインクッカー 14+16 パンセット
浅型タイプは底面が広くなっており、円柱の形状をしているのが大きな特徴です。そのため、日常生活で使用しているお鍋のような使い勝手が期待できます。
 
熱伝導率も高く、クッカー全体に熱が伝わりやすいため、カップラーメンはもちろんのこと炒め物や煮込み料理など幅広い調理が可能なのが大きなメリットです。

角型タイプ

モンベルアルパイン クッカー スクエア 12+13セット
一方の角型タイプのクッカーは四角注の形状をしているのが大きなポイント。
この形状によって四角いインスタントラーメンなどもスムーズに調理することができ、出来上がったらそのまま食べやすいという利点もあります。
 
浅型タイプと比較するとザックに収納しやすいのも魅力的です。またサイズに関しても500mlほどの小型のものから1.5リットル以上の大型タイプのものまで複数あります。
 
1人で使用することが多い場合は500ml~1リットル、2人以上での利用が想定される場合は「人数×1リットル」を目安にしておくとよいでしょう。
荷物に余裕があるならそれぞれサイズが異なるクッカーを準備しておくのもおすすめです。
このようにクッカーにもさまざまな種類、タイプがありますので、購入前に使用目的や使用人数を明確にしておくことが大切です。

大流行中の「メスティン」

メスティンが山ごはんで人気
登山やキャンプなどアウトドアを楽しむ方から絶大な支持を集めているクッカーのひとつに「メスティン」があります。
メスティンとは、トランギア(trangia)というスウェーデンの企業が手掛けている飯ごうで、主に炊飯で利用するケースが多いのですが、使い勝手の良さからクッカーとしても使用されています。
 
メスティンはアルミ素材が用いられており、非常に軽い、かつ熱伝導率が高い特徴があります。炒め物、煮物、鍋料理、炊き込みご飯など料理の幅が広がるため、山ごはんのレパートリーを増やしたいといった方には適しているアイテムです。
 
またメスティンには通常サイズとラージサイズがありますが、サイズが大きいラージタイプでも横幅約21㎝と持ち運びに便利です。長方形のお弁当箱のような外観は決して目立つものではありませんが、シンプルなデザインは使いやすさを重視している方にはおすすめといえるでしょう。
 
価格も非常にリーズナブルであり、クッカー初心者の方もお試し気分で購入しやすいといったメリットがあります。
 
火を起こすためのバーナーとガスカートリッジ(燃料)
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次に、火を起こすために欠かすことができないバーナー、ガスカートリッジに関する基本情報や種類を解説します。

バーナー(ストーブ)とは?

バーナー(ストーブ)
バーナー(ストーブ)とは、ガスなどの燃料を気体中に拡散し、高温で燃焼させる装置で、簡単にいえば小型のカセットコンロのような役割を担っています。
 
アウトドアシーンでは持ち運びに便利な専用バーナーを携帯していればいつでも火を起こすことができますので、登山などではほぼ必須の道具となります。
 
一般的に登山などで使用されるバーナーは、バーナー部に直接ガスカートリッジを挿し込むシングルバーナー、燃料とバーナーをホースでつなぐ分離型タイプの2種類が用いられます。

バーナーの種類と違い

アウトドア向けのバーナーはタイプによって使用できる燃料が異なります。
一般的に用いられる燃料は「ガス」「ガソリン」「アルコール」の3つで、それぞれの特徴を事前にしっかりとチェックしておきましょう。

ガス

ガス
登山やキャンプなどのアウトドアシーンでは最も定番ともいえるガスバーナーは、コンパクトなサイズで重量も軽く、自動点火装置の機能も付いています。
 
使い方も非常に簡単なため、登山初心者の方にもおすすめできるバーナーといえるでしょう。なおガスバーナーで使用されるガス缶にはアウトドア向けに製造されているOD缶と家庭用向けのCB缶があります。

ガソリン

ガソリンバーナー
燃料にガソリンや灯油を使用するバーナーは高火力、炎の安定性では№1ともいわれています。
 
冬山など気温が低下する場所で火を起こす主なリスクは、低温の影響で火力が落ちることです。火力が落ちるとその分調理にも時間がかかってしまうため、このようなリスクを懸念する方にはガソリンが適しています。
 
ただしガソリンは使用前にプレヒート(あらかじめバーナーに余熱を与え、気化を促進すること)が必要になるケースが多く、着火までに手間がかかるのが難点です。
 
また重量があり、かさばりやすいといったデメリットもありますので、敬遠する方もいます。燃料にガソリンを使用するバーナーはどちらかといえば大人数で料理を作ったり、本格的な調理を行ったりするときにおすすめです。

アルコール

アルコールバーナー
軽量かつコンパクト、さらに頑丈性に優れているのがアルコールバーナーです。最小限の荷物で済ませたいといった方には適したバーナーといえるでしょう。燃料も必要分だけ小瓶に入れておけばかさばる心配もありません。
 
もちろん火力も安定していますのでお湯を沸かしたり、簡単な調理を行ったりするときも活躍します。ただしガスよりは火力が落ちますので、本格的な料理を作るときには若干不向きな一面もあります。

まずはガスバーナー(ストーブ)がおすすめ

ガスバーナー・ストーブ
バーナーの使用燃料にはさまざまな種類がありますが、登山初心者の方におすすめできるのは「ガスバーナー」です。その理由は、総合的にガスバーナーが最も安定しているためです。
 
ガスバーナーはたしかにガソリンと比較すると火力の強さや安定性は劣ります。しかし、初心者や上級者にかかわらず日本の山では大抵ガスバーナーを用意しておけば火の問題や悩みを抱えることはありません。
 
またガスバーナーは軽量、かつコンパクトであり、クッカーの中に収納できるといった利便性も兼ね備えています。一般的に登山はできるだけ軽量の装備が好ましいといわれていますので、このような視点からも手軽さがウリのガスバーナーはおすすめです。
 
その他便利な山ごはんグッズはたくさん!
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上記で紹介した必須アイテム以外にも、あると便利なグッズは他にもたくさんあります。ここからは調理や食事をより楽しめるグッズを4つご紹介します。

ウォーターボトル

アルパイン サーモボトル 0.75L
汗をかく登山では脱水症状を防ぐために水を携帯します。ウォーターボトルはこの水分補給に役立つアイテムであり、登山では最もシンプルかつ定番の水筒です。
 
ウォーターボトルは主にアルミや合成樹脂といった素材が使われており、軽量性に優れているのがポイントで、ペットボトルと違って耐熱性を兼ね備えたものもあります。
トレールウォーターパック 1.5L
登山では1リットルサイズのタイプが主流となっており、夏場になると最低でも1.5リットル~2リットルを必要です。
 
ウォーターボトルも一般的な水筒タイプからザックの中に入れてチューブで口まで運ぶハイドレーションなど種類が非常に豊富です。自分に合ったタイプを探してみましょう。

登山用カトラリー

ゴーバイト DUO(デュオ)
山ごはんはレシピによって箸を使用したり、スプーンやフォークに切り替えて食べたりといったことも多々あります。
 
しかし、これらを別々に持っていくとかさばりやすいため、登山では箸、スプーン、フォークなどが一体化したカトラリーがおすすめです。
ゴーバイトUNO MINI 3PC
登山用カトラリーはザックにムリなく収納できるようにコンパクトさや機能性などを重視して作られています。
 
またカトラリーには複数のタイプがあり、収納がしやすいように折り畳みが可能なものもあります。使用されている素材もアルミ、ステンレス、チタン、シリコンなどさまざまです。

ウインドスクリーン

ウインドシールドとも呼ばれるウインドスクリーンは一言で説明すると「風除け」の役割を担ってくれるグッズです。
 
天候が変わりやすい山では急に風が強くなることも珍しくありません。強風が吹くと調理で使用する炎があおられたり、消えたりすることもあります。
 
ウインドスクリーンは炎やバーナーを囲むことで、火が消えてしまう弊害を防ぐ効果があります。
 
さまざまなメーカーから販売されていますが、おすすめは固定ピン付きのものです。固定ピン付きのタイプは、地面にピンを差し込めるため、ウインドスクリーンの安定化を図れ、強風による倒れを防げます。

キッチングッズ (まな板やナイフ)

ビクトリノックス トラベラー モンベルロゴ
ちょっとした山ごはんを作るなら食材を切るのに必要なまな板やナイフも準備しておいたほうが便利かもしれません。
ただし荷物の軽量化、コンパクト化を図るためにこれらのキッチングッズはアウトドア専用のものを選ぶとよいでしょう。
 
特にナイフは切れ味が良好、かつサイズが小さなものがベストです。この他、必須のアイテムではありませんが汁物を作るときはお玉、すき焼きなど本格的な調理を行う場合はフライパンなどを携帯する方もいます。

山ごはんの調理器具なら、駅前アルプスにおまかせください

ご購入やご相談は駅前アルプス
今回は登山の醍醐味のひとつである山ごはんを楽しむための調理器具などを解説しました。
山ごはんで最低限必要となるアイテムはクッカー、バーナー、ガスカートリッジで、基本的にこれらの3点があればおいしい山ごはんを楽しめます。
 
ただし、より本格的な料理を山頂で作りたい場合などは、必要に応じてキッチングッズなどを揃えるようにしましょう。
 
山ごはんに必要な調理器具などでお悩みの方は、愛知県名古屋市の登山用品専門店の駅前アルプスまでご相談ください。
その他登山関連の商品を販売しているオンラインショップも、ぜひご覧ください。